映画『ベロニカとの記憶』感想 映画なんて糞くらえ評論

そいでも映画が必要なんや。

今回は『ベロニカとの記憶』です

あらすじ!!!

引退生活を送るトニー(ジム・ブロードベント)の元に、見知らぬ弁護士から一通の手紙が届く。それによると、ある女性がトニーに日記を遺したという。その女性とは40年前の初恋の人ベロニカ(シャーロット・ランプリング)の母親で、遺品の日記はトニーの学生時代の親友のものだった。ベロニカと再会したトニーは、若くして自殺した親友、初恋の秘密など、長い間忘れていた青春時代の記憶が揺らぎ始める。過去の謎が明らかになったとき、トニーは人生の真実を知るのだった……。

恐怖はまさしく過去からやってくる・・・

と、ボスが言っていたように中古品のライカを販売している小さな店の初老のマスター、トニーのもとに届く一通の手紙からストーリーが始まる。まさしく過去からの挑戦状。

その内容は謎だらけ。昔の恋人ベロニカの母の遺言状であり500ポンドとかつての友人エイドリアンの日記を贈与するという内容だった。

ベロニカの母とは一回あったきりだしなんでその人がエイドリアンの日記を持っているかもわからんし一番わからんのはなんで500ポンド(8万円弱)? ということだろう。

ミステリーのつかみとしては悪くない。

トニートニートニー

しかし肝心のエイドリアンの日記が入っていない。ぷんぷんしたトニーは法律事務所に赴きさっさと渡すように請求するが、娘のベロニカが渡してくれない。

元妻であり弁護士のマーガレットに相談するときに過去の話をするトニー。ミステリアスな美女ベロニカとの関係や知的な青年エイドリアンとの出会い。美しく彩られた思ひ出だがそのいくつかはトニーによって改竄されているとのちに判明する。人の記憶とはあてにならない。

実際は暗く陰鬱な過去だった。ベロニカとはほぼ一方的に別れを告げられ、その後ベロニカはエイドリアンと付き合うことになる。怒ったトニーはとんでもないことをしでかす。その後エイドリアンは謎の自殺。これを機にトニーは記憶に蓋をしてしまったのだ。

ストーカーそして…

しかし今回の手紙によってトニーは過去との対峙を求められる。否応なしに呼び起こされてしまったのだ。

自分のしてきた過ちに戦慄する、贖罪のためトニーはベロニカの周りをストーキングする。意味が分からないだろうが確かにしてた。接近禁止命令一歩手前とも言われていた。このじいさんはつくづく迷惑行為をしてしまうらしい。

そんなストーキングの中でトニーは様々な真相をしり、自身の思い違いを思い知る。

邪悪なるトニー

このトニーというじいさんはとにかく嫌味というか偏屈である。紳士然としているが結構邪悪だと思う。

郵便配達人にはぞんざいな態度だし、騒ぐ子供にはすぐさま怒鳴りつける。おまけに過去の行動とマーガレットとも別れてることからその性格の悪さは見えてくるだろう。

ただそんな邪悪なる爺さんでも嫌悪感を抱くことなく見ていられるのは俳優の力か? 最後には自信を改め、成長した姿も見せてくれる。邪悪だが、同時に憎めないイカシたじじいなのだ。

トニー、ベロニカの母

ネタバレです。

私は最初エイドリアンJrの父親はトニーだと思った。というより今でもそうじゃないかと勘繰っている。

それは過去の回想、ベロニカの母が小さく手を振っていることを思い出すシーンである。

ベロニカ邸から引き上げるときに見送りに来た彼女の母。

車に乗り込むトニー、車内から小さく手を振っているベロニカの母が見える。

ここで引っかかったのは車内からベロニカの母を見つめるトニーはじじいトニーなのだ。ヤングトニーではない。

つまりまだ本当の記憶を語っているのではないと、思っている。

なぜ記憶を偽装しなければならないのかは嫌な記憶だったからであり、ベロニカ邸に泊り恋人もいるというのに彼女の母親と寝てしまったという過去を思い出したくなかったのではないかと思っている。

妊娠の時系列的におかしい点はその後もベロニカの母と関係を持っていたとこじつけている。

こういう妄想も差し込めるスキを作っているのはわざとだろうと思う。それと同時にこの作品のなかで結論を下せる部分は多くない。

だって『なにかがあった』としか言えないのだから。

まとめ

過去というものは思い出すと同時に書き換えられている。それは私たちも例外でなく常に偽装された記憶を持っている。トニーだけを笑ってはいられない。

映画は奇妙な愛情に満たされ、役者にも恵まれている。音楽はうるさくなく、イギリス人は厭味ったらしいとこを再確認させてくれる映画だ。

過去からの逆襲には用心されたし。

 

DATA

ベロニカとの記憶(The Sense of an Ending)

Director:Ritesh Batra

Writers:Julian Barnes (novel), Nick Payne (adaptation) | etc…